小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

 「それが、あちらから転がり込んできたんだね。先生もその気と見た」

 「そうでしょうか?先生も困っているんですよ、縁談のことで。丁度良かったのかもしれません」

 「そうねえ。丁度良くても、美鈴ちゃんみたいな子を騙して同居させるなんてしないと思うなあ。元々読み聞かせでよく知っているんだし、騙して捨てるなんて絶対しないよ。少なくとも助ける気持ちはあるんじゃない?」

 文恵さんには言ってないけど、恋人として振る舞うように言われている。そのことを考え合わせるとまた答えも違う気がする。でも言えないなあ、さすがに。

 「お互いピンチなので助け合おうと言うことになりました」

 「それでいいんじゃない。まあ、とりあえず来週から私が病院は行こうか?」

 「……」

 「その顔はやめたくなくて言ってくれてなかった?」

 「……はい。すみません。馬鹿ですよね。わかってるんですけど、子供達が待っていてくれてるし、私自身やりがいがあってやめたくないんです」

 「うーん。で?先生はなんて言ってるの?」
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