小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

 「違うよ、これはね、あらいぐまだよ。せんせい、そんなこともしらないの?」

 「ああ、先生は動物のことあんまり知らないんだ。でも人間のことはわかるから人間のお医者さんになったんだ」

 「あら、私はあらいぐまとたぬきの区別も、きつねとハイエナの区別もつくわよ。でも同じ人間のお医者さんだけどね」

 隣に紅いスクラブを着た女の先生が並んだ。

 「すごい、絵美せんせいは何でも知ってるんだねー。弘樹せんせいはだめだね。この図鑑読んで勉強したほうがいいかもね」

 顔をしかめて弘樹先生が絵美先生を睨んでる。笑っていた私に絵美先生が話しかけてきた。
 
 「いつもご苦労様。子供達は本当に楽しみにしてるのよ」

 絵美先生が優しい微笑みで私を見た。

 「私も来るのが楽しみなんです。いつも子供達に癒されてます」

 「君はこいつらの本性を知らないからな。君の前だとここの子供達はとってもいい子になるんだ」

 弘樹先生が私に言う。
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