小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

 丁度買い物をしたところで家を出てきたから食材はある。二人分かというとそこが問題だが、適当にボリュームを出して作るしかない。

 メールアプリの音がする。確認すると先生だ。これから帰るとある。夕飯どうすると聞いてきた。

 「夕飯は適当に作りましたよ、と。あの近さじゃ、すぐ帰ってきそうだわ」

 メールをみると、ワーイ!と両手を挙げて喜んでいるキャラクターのスタンプが押されている。
 かわいい。

 ピンポーンという音がした。自分の家なのに鳴らしてくれたの?
 私は、玄関へ行ってドアを開けた。

 満面の笑みの先生。

 「おかえりなさい」

 「……ただいま。最高だな」

 玄関に入ると、嬉しそうにしている。

 「エプロン姿の君がおかえりと言ってくれて、夕飯の匂いがしている。新婚みたいだ」
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