小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

 「弘樹先生変なこと言わないで。早かったですね」

 「ああ。きりのいいところで逃げるように帰るのが大切だ。君が心配だったからね」

 部屋へ戻って彼は着替えに行った。

 その間に料理を並べる。と、もしかしてお風呂が先?

 「先生、先にお風呂ですかー?ご飯出来てますけど、どうします?」

 「そうだな、先に美鈴がいい」

 ラフなスタイルに着替えた先生が顔を出して、私の腕を引っ張った。
 そっと抱きしめられた。ええ?!

 「ああ、いい匂い。ご飯の匂いがする」

 「は?」

 先生を押すと笑って見下ろしている。

 「とりあえず、食べよう。君もまだなんだろ、その様子だと」
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