小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

 「はい」

 ふたりでテーブルを挟んで座った。料理を見て驚いたように言う。

 「すごいな。こんなに材料どうしたんだ?買い物したんじゃないだろうな?」

 「してませんよ。材料は家から持ってきた物です。調味料が戸棚にあったので使ってしまいました。誰か使ったんですか?」

 「……ああ、調味料賞味期限大丈夫だった?」

 「はい」

 話をそらされた。先生に恋人がいなかったなんてわけないから、誰かきっと作りに来ていたんだろうな。少し胸が痛む。

 「うん、うまいな。この生姜焼き最高だ。ご飯が進む。あ、ご飯はどうした?」

 「あ、冷凍していたご飯を家から持ってきたんです」

 「なるほど」

 「今度のおやすみ一緒に買い物へ行ってもらってもいいですか?」
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