小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

 「院長には話したんですか?」

 「今日は時間がなくて明日話すことになっている。予約はしてきたよ。院長も忙しいんでね」

 「そうですか」

 「心配するな。大丈夫だ」

 「……はい」

 食洗機に食器を入れて、片付ける。その間に先生はシャワーを浴びてくると言っていた。
 私は、明日の食材を冷凍庫から少し移動させて、考える。

 上半身裸の先生がバスルームから頭をタオルで拭きながら出てきた。

 「もう、服着て下さい」

 私はあまりのフェロモンに目をそらしたら、どんどん先生が近づいてくるではないか!

 思わず後ずさっていたら、壁にぶつかった。

 「……美鈴。何、真っ赤になってんだよ。これじゃあ、恋人だって言っても誰も信用しない」

 目の前でフェロモン星人の先生が私を見ている。どうしたらいいの?
 恥ずかしくて目を下に向けたら、顎を捕らえられてじっと目を合わせられた。
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