小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

縁談《弘樹side1》

 
 美鈴を連れてきた翌日。

 午前中の病棟回診。
 隆君の部屋を見に行くと、ベッドを少し傾けて膝に本を置いている。

 「おはよう、隆君。具合はどう?」

 「あ。せんせ。おはよー」

 「本を読んでるのか?疲れたら寝るんだぞ。昨日は眠れた?」

 「うん。大丈夫だよ。お昼寝もしてるし、前よりは気分いいよ」

 「そうか」

 確かに今日は顔色がいいようだ。

 「何の本を読んでいるんだ?また宇宙の本か?」

 「うん?これはねえ、そう。僕、宇宙に行きたいけど、きっと身体が弱いから無理だと思うんだ。だから、宇宙に行く人を助けて、いつかどんな人でも行けるようになったら行ってみたいな」

 「どうして宇宙に行きたいんだ?」

 「病気で身体がなんとなく重かったり、だるかったりすると歩けないんだ。そしたら檜山先生が宇宙は重力っていうのが地球と違うから身体が軽く感じるらしいぞって教えてくれたの」
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