小児科医は癒やしの司書に愛を囁く
彼女は俺と同じくらいの歳の看護師。結婚を控えている。さすがに彼女とは全然違う。ある意味大人だ。
「君もそうだった?」
「そうですねえ、少なくとも、さっきみたいなひとりよがりはないですねえ。どう見たって、先生はその気がないって近くにいる人間はわかってますけど、本人は全く見えてない」
「……そう言ってやってくれよ」
「言って差し上げたいところですけど、どうせ信じてくれないでしょ?先生お立場もあるでしょうけど、その気がないならそろそろ潮時かもしれませんね」
「全くだ。そろそろ潮時だ。はっきりさせないと」
「おお、言いましたね。頑張って下さい」
笑いながら薬剤の準備をしている。
今日は金曜日。土日前なので外来は混む。午後から予防接種の予約の子供がどっと来るので、午前は診療の予約の子供が多い。次々と診療して気付くと一時近かった。
「先生。お疲れ様でした。そろそろ終わりです」
「ああ。今日は悪いが院長と約束があるので、これ以上は無理だ。檜山先生に残りの患者は頼んでくれ」
「……何だと?おい、勝手に」
隣のブースから声がする。覗いて頼む。