小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

 「悪い。昨日言ってただろ。院長と約束があるんだ」

 「そういや、そうだったか。忘れてた。しょうがないな、夜勤一日代われよ」

 「ふざけんな。お前、この間の午後も代わってやったぞ」

 「へいへい。わかりましたよ。行ってらっしゃい」

 ひらひらと手を振っている。偶然高校の同級生の檜山がここへ配属で来たときはお互い本当に驚いた。

 お互い将来医師になると言っていたが、小児科医になるとは聞いてなかった。しかも医大はお互い違った。

 駆け出しの頃は色々落ち込むこともあるから、事情をわかった上で、気晴らしの相手がいるのは本当に大事なことだ。

 急いで看護婦に目配せするとうなずいている。院長室へ内線をかける。これから行きますと連絡した。

 最上階の院長室へ行く。

 「失礼します。原田です」

 「入りたまえ」

 「遅くなり申し訳ございません」
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