小児科医は癒やしの司書に愛を囁く
入り次第頭を下げる。予定より一時間近く遅れてしまった。
「いや、今日は金曜だったから、こうなるのは予測済みだよ」
そう言うと、テーブルの上に用意してある重箱が目に入った。
「お茶を頼むよ」
電話で連絡した院長は席に座るよう促した。ソファに向かい合わせで座った。すると、秘書がお茶を入れてきて、重箱と箸を目の前に置いた。
「とりあえず、暖かいうちに食べようじゃないか」
箱を開けて驚いた。ウナギだ。
「すごいですね。こんな立派なうな重ここ最近食べたことはなかったです。いいんですか?」
「ああ。君には普段からよくやってもらっている。お礼にしては足りないくらいだ。これからのことを考えるともっとだな」
「院長。そのことですが……」
院長が手を上げて制した。