小児科医は癒やしの司書に愛を囁く
「ちょ、ちょっと、どうしたんです?病院ですよ!」
「そうだな。じゃ、家で続きをしよう」
「……!」
真っ赤になっている美鈴の頬を撫でてやる。
「気をつけて帰れよ」
耳元で言うと、先に部屋を出た。
病棟の状態を聞くと落ち着いているらしい。美鈴もあまり人に見つからず帰れたようだ。良かった。
戻ってきたら、院長が出てきた。
「院長」
「ああ、原田君。ちょっと」
「はい」
先ほど彼女と入っていた部屋へ入る。
「今、親子三人にしてきた。別れた奥さんだが、何度か隆君が会いたいと言って連絡を祖父母のほうから取っていたようだ」
「そうだったんですね」
「離婚原因などは詳しくは聞いていない。跡取りの隆君が欲しくて祖父母も一緒になって奥さんから親権を取ってしまったようだ。でも隆君はお母さんを恋しがって泣くそうだ。祖父母は後悔していると言っていた」