小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

「うるさい。館長や文恵さんからも頼まれてるんだ、お前のこと」

「迷惑かけてすみません」

「心配させるなよ。これだから……まあ、いい。同棲している男を見てからだな。そっちも気をつけろよ。住所教えておけ。何かあれば俺に連絡よこせ。ちなみに同棲なら俺の家でもいいんだぞ」

 こちらを見てニヤリと笑う。ええー?そ、そういうキャラだったっけ、先輩って……。

「……」

「そうやって囲い込まれたんだろ。全く……」

 昼休みが終わり、絵本コーナーの季節の装飾を張り替える。折り紙を使って、七夕の装飾を作る。絵本もそれに合わせて選んでみたり、こういうことが楽しい。私ってやっぱり子供に関わる事が好きかもしれない。

 幼稚園の先生とかもいいなあとか思いながら、絵本を選んでいく。

「ママー、これ読んで」

「いいわよ」

 お子さんを膝に乗せて読み始めたお母さん。

 私にも記憶がある。私には弟がいた。そしてやはり病院に小さいとき入院していた。弟が検査や治療のときに母が付き添うのでいつも絵本を持って行き、休憩室のようなところで読んで待っていた。
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