会ったことのない元旦那様。「離縁する。新しい妻を連れて帰るまでに屋敷から出て行け」と言われましても、私達はすでに離縁済みですよ。それに、出て行くのはあなたの方です。
 今回、留守番をしてくれているカニンガム公爵家の管理人のクリスは、わたしが戻るまでバートと彼の愛する人をうまくあしらってくれるはず。

「アミ、よかったのか? ポールとダイアンから話はきいていたが……。あれほどひどいとはな」
「あなた、ひどいなんてものではありませんわ。ポールとダイアンの決断は、正しくて適切でしたわね。つくづく感じました」
「ああ、ハニー。英断と言ってもいいだろう。カニンガム公爵家にとってだけではない。この公爵領のすべての領民にとってもだ」

< 53 / 128 >

この作品をシェア

pagetop