会ったことのない元旦那様。「離縁する。新しい妻を連れて帰るまでに屋敷から出て行け」と言われましても、私達はすでに離縁済みですよ。それに、出て行くのはあなたの方です。
 いままで黙っていたバートの愛する人が叫んだ。

 二人して彼女に注目する。

「どこかで見たことがあるような気がするんだけど……。ダメだわ。思い出せない。ああ、イライラもやもやするわ」

 彼女もまた、記憶力は皆無らしい。

 どっちもどっち、似たもの同士ね。

 お似合いのカップルだわ。

 いろいろな意味で感心してしまう。
< 80 / 128 >

この作品をシェア

pagetop