会ったことのない元旦那様。「離縁する。新しい妻を連れて帰るまでに屋敷から出て行け」と言われましても、私達はすでに離縁済みですよ。それに、出て行くのはあなたの方です。
「あなたがだれかですって?」

 わざとおおげさに驚いてみせた。

「クリス、ユリシーズ。ききましたか? 彼のことを知っているかですって」
「ええ、アミ様。そのようにきこえました」

 ユリシーズは、間髪入れずに答えた。

 彼がわたしの名を呼んだので、それでバートは気がつくと思った。
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