会ったことのない元旦那様。「離縁する。新しい妻を連れて帰るまでに屋敷から出て行け」と言われましても、私達はすでに離縁済みですよ。それに、出て行くのはあなたの方です。
「愚か者のにおいがしますな。しかも強烈だ。カニンガム公爵家は、名門中の名門。代々の当主だけではありません。一族みなが優秀です。すくなくとも、こんな愚か者臭をプンプンさせているような者はおりません」

 クリスは、辛辣に言った。そして、こちらに戻ってきた。

「な、なんだと、じじいっ」
「アハハハハッ! 愚か者だって」

 バートが怒り狂うのはわかる。だけど彼の愛する人は、愛するバートがいわれなき誹謗中傷をされているのに大笑いをしている。
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