見知らぬ彼に囚われて 〜彼女は悪魔の手に堕ちる〜

ちぐはぐな自分/縄を掛けられて……

　自分は料理の他、家事も問題なくこなせるらしい。
　しかも何がどこにあるのかがなんとなく分かるうえ、掃除をするにしてもどう始めるかを考える前に身体が動くことも。

　レオナは自分の思考と身体がバラバラな気がした。
　これだけこの家のことが出来るということは男の言う通り記憶のない頃から自分はここにいて、その感覚が残っているということ。

　本当に思い出せないだけなのだと。


「……さすがだレオナ、よく感覚を思い出したね。では次は、私自身の与える感覚を覚えてもらおうか」

　彼女が逃げ出さないよう一日近くで見張っていた男は、レオナが家事を終え入浴を済ませると後ろから抱きすくめてそう笑った。


「こうしなければ君が暴れるからね……私の今の力では抑えることは出来ないだろう。また縛らせてもらうよ」

　ベッドに横たわらされた彼女は身体中に与えられる、男の唇の感覚に耐えていた。
　身体中を縛られた縄がキシキシと音を立てて彼女の反応して動こうとする身体を抑えつけている。

「気分はどうだい、レオナ」

　男の嫌味な問いかけに、彼女は感じないふりで潤んだ目を閉じ口を利かないまま懸命に耐える。

「……もうこんなになっているのに。本当に、身体だけは従順だよ君は」

　身体中を嬲りながら男は笑う。

「……しかし、嫌がって貰わなければね。嫌がる君をもっと見せてもらわなければ、私は耐えられないよ……」