見知らぬ彼に囚われて 〜彼女は悪魔の手に堕ちる〜
“彼”と異形
………
眠る二人のもとに、黒い闇に包まれた異形の者が姿を現した。
色素の薄い髪に、長く曲がった二本角が頭から突き出、スラリとした長身には黒衣を身にまとい細長い手足が覗く。
儚げな印象とは裏腹に、長く伸びたまつげから覗く瞳は漆黒の闇に灯された炎のように不気味に赤く光った。
男は現れたその気配に目を覚まし、彼女を起こさぬよう起き出す。
「良い演技だったね。ずっと見ていたかったほどだよ」
異形は不気味さを漂わせながら穏やかに笑う。
「契約のせいで、ここまで欲望を抑えられなくなるなんて……。彼女は助かったんだ、“約束のもの”も渡しただろう?」
男はそう言い、眠るレオナのすぐそばにつきながら異形に不審な表情を向けた。
「しかし君が“悪魔”だなんて、物足りないんじゃないかな」
異形は形の良い唇を歪めながら、そう付け加える。
「何をしに来た!まだ代償に私から何かを奪っていくのか!?」
彼が激怒のままそう問うと、異形はサラリと答える。
「ああ、あれだけでは足りないよ。このままだともうすぐ彼女は……」
「何だって!?」
男は面食らったように呆然と立ち尽くした。
「彼女の初めてまでも貰えたのに、君は物足りなかったの?……ああ、“貰えた”ではなく“奪った”だったよ。それも“彼女のために”、ね」
異形はクスクスと笑い、続ける。
「……今度は継続を約束するよ。その代わりに次も“二つ”かな。彼女を、助けたいんだよね?」
異形にそのまま詳しい提案をされた男はしばらく黙って下を向いていたが、やがて操られるように小さく頷いた……
………
眠る二人のもとに、黒い闇に包まれた異形の者が姿を現した。
色素の薄い髪に、長く曲がった二本角が頭から突き出、スラリとした長身には黒衣を身にまとい細長い手足が覗く。
儚げな印象とは裏腹に、長く伸びたまつげから覗く瞳は漆黒の闇に灯された炎のように不気味に赤く光った。
男は現れたその気配に目を覚まし、彼女を起こさぬよう起き出す。
「良い演技だったね。ずっと見ていたかったほどだよ」
異形は不気味さを漂わせながら穏やかに笑う。
「契約のせいで、ここまで欲望を抑えられなくなるなんて……。彼女は助かったんだ、“約束のもの”も渡しただろう?」
男はそう言い、眠るレオナのすぐそばにつきながら異形に不審な表情を向けた。
「しかし君が“悪魔”だなんて、物足りないんじゃないかな」
異形は形の良い唇を歪めながら、そう付け加える。
「何をしに来た!まだ代償に私から何かを奪っていくのか!?」
彼が激怒のままそう問うと、異形はサラリと答える。
「ああ、あれだけでは足りないよ。このままだともうすぐ彼女は……」
「何だって!?」
男は面食らったように呆然と立ち尽くした。
「彼女の初めてまでも貰えたのに、君は物足りなかったの?……ああ、“貰えた”ではなく“奪った”だったよ。それも“彼女のために”、ね」
異形はクスクスと笑い、続ける。
「……今度は継続を約束するよ。その代わりに次も“二つ”かな。彼女を、助けたいんだよね?」
異形にそのまま詳しい提案をされた男はしばらく黙って下を向いていたが、やがて操られるように小さく頷いた……
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