君と夢に跳ぶ恋
「茉璃!」

授業が終わって外へ出た瞬間、春樹くんが突然呼び止めてきた。

「春樹くん・・・。」

「茉璃、ちょっと話せる?」

「・・・うん。」

聞くのが怖い。

でも何があったのか知りたい。

もしかしたら何かの間違いなんじゃないかって信じたい。

「場所変えて話そう。」

そう言うと春樹くんは私の手を取って歩き出す。

歩いている間ずっと無言な春樹くんを見て、不安が募る。

やがて着いたのは小さな公園。

春樹くんは自動販売機でココアを2つ買うと、1つを私に手渡した。

夜の公園には私達以外誰もいなくて、ココアの缶を開ける音だけが響く。

2人の間に沈黙が流れる。

「茉璃、ごめん。」

最後に沈黙を破ったのは春樹くんだった。
< 29 / 86 >

この作品をシェア

pagetop