君と夢に跳ぶ恋
だったら、
・・・最後に一つだけ。

「春樹くんは、なんで私と付き合ったの?」

「最初はただ困ってる子がいたから助けたいって感じだったんだけど、話してるうちに、だんだん茉璃といると心地よくて落ち着くなって。それで好きかもって思った。告白して、付き合うことになったときは嬉しかった。」

「でも茉璃の家は厳しいからって、茉璃とは塾でしか会えないし、デートも出来ないし、付き合ってることも言えなくて、正直きつかった。」

春樹くんは私のこういうところをつまんないって思ってたのかな・・・。

「私のことは・・・。」

「ちゃんと好きだったよ。」

好き“だった”

もう春樹くんの気持ちは他の人のものなんだ。

「そっか。我慢させちゃっててごめんね。今までありがとう。」

「私、春樹くんのこと忘れないよ。席替えの後、座席表に自分の席が見つからなくて困ってた私を助けてくれたことも。春樹くんにとっては小さなことでも、本当に嬉しかったから。」

私の精一杯の強がり。

「僕も、茉璃と付き合えてよかったよ。
今までありがとう。これらかも塾で会うけど友達としてよろしくね。」

春樹くんは優しい。優しいけど残酷だとも思う。

もう私のこと好きじゃないなら、私のこと振るんだったら、いっそのこともっと酷く振ってくれればよかったのに。

・・・そんな風に優しされたら春樹くんのこと諦めきれなくなる。
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