君と夢に跳ぶ恋
池田くんの方をちらっと見ると、みんなと一緒に笑っている。

授業開始のチャイムが鳴って、みんなが席に戻ると、池田くんはほっとしたように息をもらしていた。

まるで、今まで水中にいたけれど、今やっと息が吸えたかのように。

もしかしたら・・・池田くんは別にあの人達と一緒にいたくて一緒にいるわけじゃないのかもしれない。

周りに合わせてやり過ごしているのかも。

池田くんはこう見えてけっこう成績がいい。

さっきの告白だってきっと、仲間に言われたからやっただけで。

確信は持てないけどそんな気がする。

ずっと自由に生きてる池田くんみたいな人が羨ましかったけど、そんな人にも、きっと人は誰にでも、生きづらいこととか、我慢しなきゃいけないことがあるのかもしれないと思った。
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