君と夢に跳ぶ恋
文房具屋の前を通りかかったとき、ふとそこのウィンドーに目が吸い寄せられる。

「芸術の秋!絵を描こう!アートフェア!」という大きな垂れ幕と共に飾られている色とりどりに彩られたキャンパス。

まるで思いのままに感情をぶつけたかのよう。カラフルな色は見ているだけで心が弾んでくる。

そしてその隣には絵の具と筆のセット。

パレットに乗せられた色同士が混じり合って、まるで虹みたい。

「わぁ・・・。」

思わず小さな感嘆の声が漏れてしまう。

この文房具屋さんにはいつも筆記用具とかを買いに来ているけど、画材はいつもちらっと横目に見るだけだったから、間近で見ることができてわくわくしてる。

いいなぁ。

私にもいつか自由に絵を描ける日が来るかな?

好きなことを胸をはって好きって言える日が。

気づけばウィンドーの前に立ち尽くしていた。

「おい!こっちだぞ!」

「いけ!追いかけろ!」

男の人の怒声で我にかえる。

声のする方へ視線を向けると、男の人が一人、不良っぽい人たちに追いかけられている。

・・・こっちに来る。
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