君と夢に跳ぶ恋
「た、ただいまー。」

「・・・。」

今日も返事はない。

リビングに入ると、お母さんが本を読んでいる。

顔を上げようとすらしないお母さんに、更に不安が募る。

とりあえず鞄置いてこよう。

お母さんに背を向けた途端。

「今日はちょっと遅かったじゃないの。」

突然降りかかる声に背筋が凍る。

いつもよりも冷たい気がする。

「えっと・・・。ま、まあ。今は文化祭の準備とかもあるし。」

「あら〜そうなの〜?よかった〜!てっきりママ、茉璃ちゃんに何かあったのかと思っちゃったわぁ〜!」

また突然顔を上げ、突然優しくそう言うお母さん。

さっきまでのちょっと怖い雰囲気が嘘のよう。

「大げさだよ・・・。」

やっぱりお母さんはどこかおかしい。まるで人格が何個もあるみたいに、突然優しくなったりする。
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