君と夢に跳ぶ恋
「でも〜、茉璃ちゃんは出ないんだから文化祭の準備なんかしなくてもいいのに。」

「生徒は全員参加だから。仕方ないかな。」

「授業の時間潰してまで準備するとか、無駄よね〜、まぁ、成績に関係するんだったら仕方がないけど〜。」

・・・まただ。不気味なまでの優しさ。

「じゃ、じゃあ私荷物置いて来るね。」

「も〜、ほんっとによかった〜!心配だったんだからね〜!」

「ご、ごめん。」

・・・なんでだろう。

この人の“心配”には心がこもってない気がするのは。

「他にももしかしたら茉璃ちゃんが何処か寄り道してるんじゃないかとか、また昨日みたいにどこほっついてんのかってパパも心配してたんだから〜!」

わざとらしくそう言うお母さん。

っていうか『昨日みたいに』ってどういうこと?

「だ、大丈夫だよ。心配かけちゃってごめんね。」

そう言ってまた階段へ行きかけたとき。

「そっかそっか〜!安心しちゃった〜!それにしても・・・。」

「茉璃ちゃんは昨日どこ行ってたんだろ〜?」

えっ・・・。

ピタっと足が止まる。
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