君と夢に跳ぶ恋
「おねーさんのご両親がおねーさんに望んでるような人生ってどんななの?」

「たくさん勉強して、いい高校に進学して、いい大学に行って、大手企業に就職して、23歳になったらお父さんとお母さんが決めた人と結婚して、ハネムーンはハワイに行って、25歳で子供2人出産、みたいな。」

「何から何まで決められてるじゃん。それは嫌だな。」

「私の為を想って言ってくれてるっていうことは分かってるんですけど、勉強しないとお父さん暴力ふるってくるし、お母さんは私のことを人形扱いしてくるしで、やっぱりこんなのおかしいって思ってしまうんです。」

「・・・。」

男の人は黙って聞いている。

「それってさ、もう愛じゃなくて束縛じゃない?そのほっぺのあざもお父さんにやられたんでしょ?まあ、期待されてるっていうのは悪いことじゃないけどさ。俺なんて親父にもお袋にもこれっぽちの期待もされなかったから。」

「まあそのせいでヤンキーやってるんだけど。」と付け加える。

「でも、おねーさんの人生だよ?嫌なものはちゃんと嫌って言わないと。」

「わかってるけど、そんなに簡単なことじゃないんですよ・・・。」

「私、何やっても上手く行かないんです。今日も友だちが出来たと思ったら私がいつも一人で可哀想だったから構ってくれてたみたいで。」

ふと時計を見ると、もう15分くらい過ぎていた。
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