君と夢に跳ぶ恋
「そのせいでプランが崩れそうになったけど、今からでも間に合うわ。一緒に考えてあげてるでしょ。」

私はお母さんのプランのひとつである名門私立中学の受験に失敗した。

合格者名簿に私の番号がをいくら探しても見つからなかったとき、いつも笑顔を崩さなかったお母さんは今まで見たこともないような表情をしていた。

お母さんは合格なんて確実だと考えて、結果が出る前から制服や教科書を買う準備までしていたのに。

私は家から5駅離れた公立学校に進学した。

お母さんは3週間私と口をきかず、お父さんは酷くはないけど私に手をあげるようになった。

やっと話してくれたときのお母さんは、今まで見たこともないくらい笑顔で優しくて。

不自然なほどの優しさは怖いくらいだった。

それ以来ずっとこの調子。

優しさという名の糸で私をがんじがらめにしている。



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