私のイチバンをあげてあげなくもない
「ふー!」

溜まってた息を吐き出し、ポケットをゴソゴソやる。

「今日はいちご味にしよーっと。」

取り出したのは棒付きキャンディ。

塀によりかかりながらそれをくわえる。

今日は風が強い。

「前髪、邪魔だなぁ。」

薄くすいてきっちり揃えた流行りの前髪。風が当たって目にかかる。

ほんとは前髪なんていらないんだけど。

腰まで伸びた髪も。

風が強い日は口に入ってきてすごく・・・。

「邪魔くさ・・・。」

突然携帯の着信音が鳴った。
誰からか確認する。

「もしもし凪ぃ?どーかした?」

凪は私の親友で幼なじみ。
高校は離れちゃったけど時々遊んだり、こうして電話したりしてる。

「椿?今昼休みだよね?」

「うん。」

「来週の中学の同窓会、椿は行く?」

「えっ?同窓会?そんなのあったっけ?」

「椿にも連絡来てるはずだけど。」

「ちょっと待ってて。確認するから。」

急いでメールを開いてみるけど、みんなからの連絡は相変わらず2年前で途切れたまま。
誰からも新しく連絡は来ていない。
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