女風に行ったら、モテ期がきた
うう、気持ち悪うう。

「石川さん?目、覚めました?」

ん?誰?ていうか、ここはどこ?

何?え?私、どうなってんの?

つーか、、

「あたま、いたい、、」

「大丈夫ですか?水、飲めます?」

「あー、高城君?」

「すみません。前田達が無理に飲ませちゃったみたいで、、」

あーそうだった。なんかずっとだる絡みされて、途中からわけわかんなくなったんだ。

「家に送ろうと思ったんですけど、石川さんの意識がなくて。しょうがないので駅前のホテルに入ったんです。でも酷く酔ってたから、放っておくわけにもいかなくて、、」

「だいぶ迷惑かけてしまったみたいで、ごめんなさい。いい歳して恥ずかしい、、」

「いや、幹事の俺が気づけなかったのも悪いんです。本当すみませんでした」

高城君が、水と薬を渡してくれる。

「いやいや、本当こちらこそ。でも、昨日のビアガーデン、料理もお酒も凄く美味しくて、最高でした」

「喜んでもらえたなら良かったです。でもあの調子じゃ、あまり楽しめなかったですよね?今度、改めて誘わせて下さい、、変な意味じゃなくて、その、お詫びを兼ねて」

眼鏡をかけてないから、高城君が今どんな顔をしてるかはわからない。なのに、何かが妙にざわつくのを感じた。けど今は、それ以上に頭痛と吐き気を感じていたため、それが表に顔を出すことはなかった。

体調が悪過ぎる私を心配して、結局高城君が家まで送ってくれた。潰れて後輩にお世話されるなんて、本当情けない。最近の私、いいとこなしだ。へこむわ。

最悪な気分のまま週明けを迎え、いつも通りなはずの私の日常は、また少し変化していた。

「ミキさーん。ランチ、外に行きませんか?いい店見つけたんですよ!」

私をランチに誘ってきたのは菜々美ちゃんではなく、営業の長谷川君だった。何故おまえが私を名前で呼んでんだ?

「今日は食欲ないから社内で簡単に済ませる予定です」

嘘ではない。誘ってきたのが菜々美ちゃんでも、答えは一緒だ。

「長谷川ー。おまえごときの誘いにミキさんが乗るわけないだろ?ミキさん、俺と行きましょう。こいつよりいい店知ってます」

この人は確か高城君の同期の、、前田君だったか?だからどうして、名前で呼ばれているんだ?

「いえ、食欲がないので、社内で簡単に済ませます」

何度でも言う。例え誰に誘われようとも、答えは一緒だ。
< 11 / 29 >

この作品をシェア

pagetop