女風に行ったら、モテ期がきた

突然の告白×2

「システムの高宮さん、ですよね?石川さんが嫌がってるように見えるんですけど、何してるんですか?」

私の窮地を救ってくれたヒーローは、高城君だった。どうして彼がここにいるのかわからないけど、おかげで助かった。ほっとして、足ががくがくし始める。

「誰だよおまえ、関係ないやつは引っ込んでろよ」

おいおい、高宮。酔ってんのか?引き際って大事だぞ?

「関係なくありません」

そーだそーだ!高城君は、私のかわいい後輩なんだぞ!

「俺、石川さん、、いやミキさんと付き合ってるんで。変なとこに連れ込まれたりしたら、困るんですよ。これ、立派なセクハラですよね?会社に報告しますか?それより、強制わいせつで警察呼んでも構いませんよ?」

、、、、、。

散々脅されたことで、高宮君は逃げるように帰っていった。私の貞操は無事守られたのだ。

色んな意味で腰が抜けてしまった私は、高城君に連れられて、駅前のファミレスにいた。

「あの、、ありがとうございます。本当、助かりました」

「いえ、石川さんが無事で良かったです。ていうか、勝手に付き合ってるとか言って、すみませんでした」

まあ確かに、あんだけがっつり脅すなら、付き合ってるって言う必要はなかったように思うけど、、

「いや、おかげで助かったから。本当、気にしなくて大丈夫です」

なんだか妙に気まずくて、沈黙したままコーヒーを口にする。

「あの、、実は俺、、ずっと前から石川さんのこと、、好きなんです」

、、ん?

「だから、、付き合ってるっていうの、、嘘にしたくないっていうか。すぐじゃなくてもいいんです。俺とのこと、少し考えてみてもらえませんか?」

、、んんん!?

その後、高城君に送られて家まで帰った。途中の記憶はほとんどない。どうせなら、職場を出てからの記憶が全部消えてて欲しかった。もちろん、そんな都合のいいことが、現実に起こるはずはなかったが。

それから数日後。

『経理のお局様に恋人ができたらしい』という、情報源と発信源がわかりやす過ぎる噂が社内で広まっていた。

情報源はもちろん高宮君。発信源は、ワードのセレクトから察するに、私の悪口を言っていた前田君狙いの女の子だろう。

高城君の名前があがっていないことが唯一の救いだが、もうため息しか出んわ。
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