女風に行ったら、モテ期がきた

侵入者

とりあえずシャワーを浴びようと思い、着替えを取るため寝室のドアを開けた。瞬間、普段と違う空気を感じる。

窓が開いている?閉め忘れた?

部屋の明かりをつけると、ベッドや床に、服や下着が散乱しているのが目に入った。

何これ!?どういうこと!?

ベランダに繋がる窓が割れた状態で開いている。クローゼットも開け放たれ、チェストがぐちゃぐちゃにされていた。

リビングに異変は感じなかったが、慌てて貴重品を入れているキャビネットを確認する。

、、どうやら無事のようだ。

泥棒?とにかく、警察に電話しなきゃ。

怖くて部屋にとどまることができず、外で警察の到着を待った。恐らく10分程度。ふたりの警官がやってきて、簡単に状況を説明し、一緒に部屋に戻って、盗まれたものがないかを確認する。

その結果、下着が何着かなくなっているだけで、他に盗られたものはなさそうだったが、代わりに犯人が残していったものが見つかった。

あとから来た鑑識っぽい人が、散乱した衣服や下着から、男性の体液と思われるものを発見したのだ。

「状況からいって、空き巣ではなく、変質者ですね。誰かに付きまとわれたりとか、何か心当たりはありますか?」

何人かの顔がちらつく。だが、いくらなんでも、こんなことする人達だとは思えない。どうだろう、わからない。混乱して、頭が全然回らない。

「今じゃなくてもいいので、何か思い当たることがあれば、すぐお知らせ下さい」

とりあえず、一旦冷静になって考えたい。

「近くにご家族や友人はいますか?しばらくは極力ひとりで過ごさない方が、身の安全を確保しやすいと思います」

「しばらくって、、」

「こちらでも見回りは強化しますが、犯人がまた侵入することも考えられますし、犯行をエスカレートさせる可能性もゼロではないです。用心に用心を重ねて下さい」

結局、私は貴重品だけ持って駅前のホテルに行くことにした。服や下着は証拠品が付着していたので警察が持ち帰り、残されたものも手に取る気分にはならない。

痛過ぎる出費だが、服に限らず、気持ち悪いと感じるものをそのまま使い続けることは無理だろう。

とはいっても、このままホテル暮らしは続けられない。窓を修理したら、家に戻らねば。

翌日は休暇を取った。窓の修理に立ち会ったあと、当面必要なものを最低限で買い揃える。

家に帰りたくなくて、町をふらふらしていたら神社があった。どうやら私は厄年らしい。そのまま神社を訪れ、厄払いをしてもらった。

もうすぐ日が暮れる、、

いつまで用心を続ける必要があるかはわからない。遅かれ早かれ、家に戻らなくてはいけないのだ。

窓は直した。厄払いもした。仕方ない、家に帰ろう。
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