女風に行ったら、モテ期がきた
土曜日、高城君とふたりで、朝から私の部屋に向かった。侵入された形跡はなく、とりあえずほっとする。

「じゃあ、やっちゃいましょうか」

窓の修理の際に業者が来たので、下着だけはごみ袋にまとめておいたが、それ以外は警察が帰った時のままになっていた。

「布類は全部処分したいんですよね?」

犯人がチェストの中身をまんべんなくかき回してくれたおかげで、服だけでもかなりの量になる。

幸いほとんどがミドルブランドのもので、高級品やスーツ、冬物のアウターは、クリーニングに出したまま別の部屋に置いていたから無事だった。

でも、服や下着はもうちょっと買い足さないと厳しい。老後の資金が減っていく、、

散らばった衣服を眺めた。洗濯する?それともクリーニングに出すか?

「、、駄目だ。処分します」

どうしても、顔の見えない変態が私の服を汚している姿を想像してしまって気持ち悪い。吐きそう。

「石川さん、、大丈夫ですか?こっちは俺がやるから、向こうで休んでてもいいですよ?」

「大丈夫です。片付けましょう」

元々まめに片付けをしていたこともあって、ごみさえ出してしまえば、掃除は簡単だった。

ざっと拭き掃除をしたあと、高城君が、しつこいくらい念入りに、家中を除菌して回る。

その様子を見ていた私は、脳裏に焼きついた嫌なイメージが、ほんのり薄くなっていくのを感じた。

菌やウィルスではないのだから、本当は除菌に意味はないのかもしれない。きっと高城君はそれを知った上で、私の記憶の汚れを、丁寧に拭ってくれているのだろう。

本当に、彼の存在がありがたい。

除菌を終えた高城君が、持参した掃除道具の中から小包を取り出してきた。

「これ、簡単に取り付けのできる防犯カメラなんです。ベランダに設置してもいいですか?」

電動ドライバーを使って、あっという間に取り付けが終わった。

「へー本当に簡単なんですね」

「人感センサーで赤外線撮影もできるから、万が一の時は、これで証拠がばっちり残るはずです」

万が一なんてあって欲しくない。でも、犯人は捕まって欲しい。複雑な感情が入り交じる。

「今日は疲れたから夕飯は外で食べませんか?一度シャワーを浴びに家に戻りましょうか」

「そうですね、そうしましょう」

工具を片付け、戸締まりをして、私達は部屋をあとにした。
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