女風に行ったら、モテ期がきた
「このままじゃ生きていけない!どうしたらいいの!?お願い!扉が開く前の私に戻して!」

「うーん、まあ、記憶が薄れてくれば、徐々に戻ってくるとは思うけど、、2ヶ月経ってこれでしょ?」

「エロセラピスト雅紀がいけないんだよ!あいつ、すっごい営業かけてくるんだよ!」

「え?雅紀ってそんな感じなの?でも、それなら退会しちゃえばいーじゃん」

「そんなのとっくにしてるよ。退会したのも伝えてるし、いつも断ってるのに、全然諦めようとしない」

「ん?それって、個人的に連絡先を交換したってこと?」

「え?普通しないの?最初の数回はサイト内でやり取りしてたけど、連絡取りづらいからライ○交換して欲しいって言われて、、」

杏子が何やらスマホで調べ始めた。

「雅紀の営業がしつこいって噂は全然ないけどなー。むしろ、冷たいとかそっけないとか、、DMの使い方知らんのか!とまで書かれてるけど、、雅紀とのやり取り、私に見せられる?」

一瞬怯むが、背に腹は代えられない。ラ○ンを開いて、杏子に渡す。

「何これ、すっごいやり取りしてるじゃん」

「だって、無視はできないでしょ?」

「いや、迷惑なら普通するでしょ?そもそもラ○ンなら、ブロックしちゃえばいーじゃん」

「ブロック、、」

「ちょっと嘘でしょ?あんた何年スマホ使ってんのよ。ブロックくらい知ってよーよ」

完全においてけぼりの私を無視して、杏子がスマホの画面に視線を戻した。

「うわー。これ、営業っていうか、ミキのこと落とそうとしてんじゃない?ほら、これとか」

スマホの画面には、少し前のメッセージが表示されている。

『ミキさん、俺がセラピストだから嫌なの?店辞めたら会ってくれる?』

ちなみに私の返信は『無理です。店は辞めないで下さい』だ。

「雅紀、とち狂ってんな。ミキが打っても響かな過ぎて、最近のメッセージ、エロを全面に出し過ぎじゃん」

そうなのだ。多分、あの日のことを思い出させて、私をその気にさせようとしているのだろう。この作戦は、ある意味成功している。これのせいで、私の症状が悪化しているのだ。

「ミキが本当にその気がないなら、ブロックしちゃう?雅紀からのメッセージ、表示されなくなるよ?」

「する!ブロックする!」

「本当に大丈夫?こんなにやり取りしてたんなら、切ったら寂しく、、」

「ブロックで!」

一刻も早く元の私に戻りたい。こっちは生活がかかってるんだ。エロにかまけてる余裕などない。
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