うわのそらでも恋がしたい。


そんなの,好きになっても仕方ないよね?

恋愛初心者の私が恋をしても……

変じゃないよね?

だらりと片手が落ちた。

くあんと残った手であくびを隠す。

そろそろ人の目に不審に映るだろうかと,私は腰を少しだけ浮かせた。

するりと,誰かが落ちた私の片手を拾う。

驚いて,心臓が跳ねて。

硬直した私の身体はぴしりと固まった。

無表情で相手を見ると,知っている人でまたあくびが漏れる。

唐突な安心とあくびはいつもイコールなのであった。

けれどその大きく細い手が,するすると私の指を絡め取って。

私はん? と見下ろす。

ヤンキー座りをしている可愛い後輩くんに,私はとうとう口を開いた。 
 
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