婚約とは安寧では無いと気付いた令嬢は、森の奥で幸せを見つける
第6話
夜もふける程に語らった。と言ってもお互いの身の上について詳しく話したわけじゃない。
互いに譲れぬ心の線引があり、踏み越えないように、傍から見ればつまらない語らいだっだだろう。
だが、有意義な時間だった。彼という人が少しばかり見えた。
今だ素性の見えないウイル様だが、その人柄が垣間見えたのだ。
この御方の幼少の出来事、学び舎での日々、飼っていたネズミの珍事まで。
話の上手な方では無いのだろう、順序よくという訳では無かったが伝わる物があった。
恐ろしく美麗なお姿も、今は霞んで親しく感じる。
……時間だ。
「夜も更けて参りました、今夜はお休みになりましょう」
「ああそうだな。女性を遅くまで無理に付き合わせるとは情けない限りだ。
反省だな」
「役目に従ったまでの事、お気になさらず」
「今度はそのような言葉を聞かないよう努力しよう」
私達はそれぞれの部屋へと戻って行く。
とはいえ狭い屋敷だ。性別を考慮して三つある部屋の端同士に自室を持った。
互いに譲れぬ心の線引があり、踏み越えないように、傍から見ればつまらない語らいだっだだろう。
だが、有意義な時間だった。彼という人が少しばかり見えた。
今だ素性の見えないウイル様だが、その人柄が垣間見えたのだ。
この御方の幼少の出来事、学び舎での日々、飼っていたネズミの珍事まで。
話の上手な方では無いのだろう、順序よくという訳では無かったが伝わる物があった。
恐ろしく美麗なお姿も、今は霞んで親しく感じる。
……時間だ。
「夜も更けて参りました、今夜はお休みになりましょう」
「ああそうだな。女性を遅くまで無理に付き合わせるとは情けない限りだ。
反省だな」
「役目に従ったまでの事、お気になさらず」
「今度はそのような言葉を聞かないよう努力しよう」
私達はそれぞれの部屋へと戻って行く。
とはいえ狭い屋敷だ。性別を考慮して三つある部屋の端同士に自室を持った。