婚約とは安寧では無いと気付いた令嬢は、森の奥で幸せを見つける
第11話
ここは、城の展望台。
眩く月明かりが照らすその場所から見える星々は、まさに絶景と言って過言ではない。
しかし、何故だろう? あの日、あの夜に、ウイル様と見た何でもない星空の方が輝いて見えた気がするのは。この視界一杯に広がる星を見ても、心が動かないのは。
――やっぱり、思いつきで来るものじゃなかったな。
そう思って、踵を返そうとした私に、不意に声が掛けられる。
「これはこれは、サラタお嬢様ではありませんか」
「……ルーイン、さん?」
真っ白なドレスを着たその可憐な少女は、微笑みを浮かべていた。
「ご機嫌麗しいようで何よりですわ。
城を出て行かれてから心配していたんですのよ」
「それは本気? それとも冗談?」
「冗談? まさか。わたくし、お嬢様とは良い友人になれるものと思っておりますわ。今でも、ね」
口元に手を当てクスリと笑うその姿は、まるで年相応の少女そのもの。
しかしその瞳の奥に宿る光は妖しく、怪しげに揺らめいている。
私は一歩後ずさる。
「あら、どうしてそんなに怖がられていますの? ふふ、可笑しな方」
眩く月明かりが照らすその場所から見える星々は、まさに絶景と言って過言ではない。
しかし、何故だろう? あの日、あの夜に、ウイル様と見た何でもない星空の方が輝いて見えた気がするのは。この視界一杯に広がる星を見ても、心が動かないのは。
――やっぱり、思いつきで来るものじゃなかったな。
そう思って、踵を返そうとした私に、不意に声が掛けられる。
「これはこれは、サラタお嬢様ではありませんか」
「……ルーイン、さん?」
真っ白なドレスを着たその可憐な少女は、微笑みを浮かべていた。
「ご機嫌麗しいようで何よりですわ。
城を出て行かれてから心配していたんですのよ」
「それは本気? それとも冗談?」
「冗談? まさか。わたくし、お嬢様とは良い友人になれるものと思っておりますわ。今でも、ね」
口元に手を当てクスリと笑うその姿は、まるで年相応の少女そのもの。
しかしその瞳の奥に宿る光は妖しく、怪しげに揺らめいている。
私は一歩後ずさる。
「あら、どうしてそんなに怖がられていますの? ふふ、可笑しな方」