婚約とは安寧では無いと気付いた令嬢は、森の奥で幸せを見つける
第2話
「今日ここで、全てを改めよと仰せだと。流石に殿下は世をお知りで感服致します」
目に見える光景には目を奪われる。
なにせそうだ、人の手の通わぬ大地と緑と。その様はなんと雄大だ。
生い茂る事限り無く、その森に矮小な人間など挟み込む術は無い。あふれ出る涙は大地に帰らず。
唯一の人工は掘っ立て小屋のようなボロ屋敷。
屋敷? ……屋敷だろう、貴族が住めば。
我が家名に傷者あり。
しかし、王族の勅命故に切り捨てる事叶わず。
それが、今の私でしょう。明日の私とも呼べる。喜ばしい事に明後日以降も同じだ。
私を吐き捨てた馬車の遠ざかる音が心地よく響く。
悪しき魔を討った騎士の如く凱旋の気分を、恐らく手綱を握りしめて味わっている事だろう。
その姿を見るのは森の木々達だが、果たして……。
夢から醒めましょう。
誰かが言った気がした。
目に見える光景には目を奪われる。
なにせそうだ、人の手の通わぬ大地と緑と。その様はなんと雄大だ。
生い茂る事限り無く、その森に矮小な人間など挟み込む術は無い。あふれ出る涙は大地に帰らず。
唯一の人工は掘っ立て小屋のようなボロ屋敷。
屋敷? ……屋敷だろう、貴族が住めば。
我が家名に傷者あり。
しかし、王族の勅命故に切り捨てる事叶わず。
それが、今の私でしょう。明日の私とも呼べる。喜ばしい事に明後日以降も同じだ。
私を吐き捨てた馬車の遠ざかる音が心地よく響く。
悪しき魔を討った騎士の如く凱旋の気分を、恐らく手綱を握りしめて味わっている事だろう。
その姿を見るのは森の木々達だが、果たして……。
夢から醒めましょう。
誰かが言った気がした。