返して
肝試し

1

「ねぇ、ねぇ、キイロ、どこ行くの?」

「もっと、先まで」


 私と、キイロは、灯りが少ない場所にいる。


「先って、もう真っ暗だよ。懐中電灯はもってるけど、暗いの嫌だよー」

「可和、怖いの?」

「うん。怖いし、嫌。」

「ま、俺がついてるし、大丈夫。行こっ」

「筋肉ムキムキでもない、キイロに言われても、無理ー。帰りたい」

「じゃ、1人で帰れば?」

「それも、無理。怖いよ。1人で帰るの、無理。キイロって意地悪だよね」

「肝試し、しようって言ったの、可和だよ。何にも出てこないから、大丈夫だって」

「もういいよ。帰ろうよ」






 駄々っ子のようになってる私に、キイロは、適当なことを言って、帰ろうとはしない。

‘本当に、帰りたいんだけど’






「どこまで、行くの?足、疲れた」

「もうすぐだから」
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