返して
本物
耳
「私の、耳、返して…」
「キイロ、ユキ以外に、誰か仕込んだの?」
「俺、ユキしか、お願いてないよ。しかも、街灯がある所で、誰も仕込まないって」
「じゃあ、誰?不気味な声が、聞こえたけど」
「え?」
「耳、み、み、返して…耳…欲しい」
背後から、声がする。
「キャー」
耳のあたりから、血を、だらだら流した人が、追いかけて来る。
足はあるけど、人か幽霊なのか、わからない。
血の気のない顔で、追いかけて来る。
「わからないけど、とりあえず、警察!救急車!」
私の声に反応したキイロが、逃げながら、震える手で、スマホを触る。
血を流してる人は、速いスピードで、追ってくる。
キイロが、救急車に電話してると、後ろの足跡が、消えた。
「いなくなった…」
「よかった…」
キイロは、相手につながる前に、電話を切った。
「キャー…」
「おい…」
「私のみ、みを…返せ」
いつの間にか、私たちの前に来ていた血を流してる人は、 私たちの耳を奪おうとしに来た。
「逃げなきゃ」
「おい、可和、逃げよう!」
腰を抜かして立つことさえままならない私の手を、キイロが痛いぐらいに引っ張って、がむしゃらに逃げた。
逃げても、逃げてもすぐ、追いつかれる。
「瞬間移動できる能力でも…」
私は、走りながら呟いた。
「後、もう少しで家だから」
キイロの焦った声がした。
「みみ、み、みー!」
血だらだら人が、私の耳を噛みに来る。
「キャー!痛いッ」
その人の手の力、噛み千切る力が、強い。
逃げられない。
「可和!」
いつの間にか、離れたキイロが、私に近づいてくる。
「だ・・・」
痛すぎて怖すぎて、混乱した私の頭の中では、何も整理できない。
言うべき言葉が、言葉にならない。
‘視界が、なんだか暗い’
‘夜だからかな’
‘何も聞こえない’
キイロの耳が噛み千切られ、血がいっぱい出てた。
そして、いっぱいの人が、集まってた。
私が見た、この日の最後の光景は、私のこれまでの人生の中で、一番怖かった。
「キイロ、ユキ以外に、誰か仕込んだの?」
「俺、ユキしか、お願いてないよ。しかも、街灯がある所で、誰も仕込まないって」
「じゃあ、誰?不気味な声が、聞こえたけど」
「え?」
「耳、み、み、返して…耳…欲しい」
背後から、声がする。
「キャー」
耳のあたりから、血を、だらだら流した人が、追いかけて来る。
足はあるけど、人か幽霊なのか、わからない。
血の気のない顔で、追いかけて来る。
「わからないけど、とりあえず、警察!救急車!」
私の声に反応したキイロが、逃げながら、震える手で、スマホを触る。
血を流してる人は、速いスピードで、追ってくる。
キイロが、救急車に電話してると、後ろの足跡が、消えた。
「いなくなった…」
「よかった…」
キイロは、相手につながる前に、電話を切った。
「キャー…」
「おい…」
「私のみ、みを…返せ」
いつの間にか、私たちの前に来ていた血を流してる人は、 私たちの耳を奪おうとしに来た。
「逃げなきゃ」
「おい、可和、逃げよう!」
腰を抜かして立つことさえままならない私の手を、キイロが痛いぐらいに引っ張って、がむしゃらに逃げた。
逃げても、逃げてもすぐ、追いつかれる。
「瞬間移動できる能力でも…」
私は、走りながら呟いた。
「後、もう少しで家だから」
キイロの焦った声がした。
「みみ、み、みー!」
血だらだら人が、私の耳を噛みに来る。
「キャー!痛いッ」
その人の手の力、噛み千切る力が、強い。
逃げられない。
「可和!」
いつの間にか、離れたキイロが、私に近づいてくる。
「だ・・・」
痛すぎて怖すぎて、混乱した私の頭の中では、何も整理できない。
言うべき言葉が、言葉にならない。
‘視界が、なんだか暗い’
‘夜だからかな’
‘何も聞こえない’
キイロの耳が噛み千切られ、血がいっぱい出てた。
そして、いっぱいの人が、集まってた。
私が見た、この日の最後の光景は、私のこれまでの人生の中で、一番怖かった。