演歌界のイケオジ『神月京介』の恋心
「どうしたの?」
「いや、ゆらちゃんこういう風の音、苦手だったの思い出して心配で」
「そういうの、覚えてくれていたんだ……」
私が小学生の頃、両親とも仕事で誰もいない時だった。当時住んでいた家は古くて、強い風が吹くたびにガタガタ揺れて、壊れて下敷きになってしまうのではないかとよく不安になっていた。大雪で風が強くて、泣きそうなくらい怖かった。唯一頼れるきょうくんの家に電話した。もう夜遅い時間だったけれど、すぐに来てくれた。そんな出来事が一度だけではなく、何度もあった。
私をベッドに寝かせると彼は私が眠るまで手を握ってくれて、私は安心してすぐに寝た。起きた時にはきょうくんはまだ手を握ってくれていて、ベッドに顔だけ置いて彼もぐっすりと眠っていた。
「覚えてるよ。当たり前だよ」
当たり前。その言葉を聞くと、きょうくんの中の、隅か分からないけれど、どこかに私が存在しているのかな?って、少し嬉しかった。本当にきょうくんは空よりも遠くにいるような存在だから。
「昔みたいに、手繋いで寝る?」
彼に質問され、私は少し迷ってから頷いた。
ベッドで私は横になると、あの時と同じように彼は手を差し出してきた。
あの時よりも迷いを感じながらその手をとった。触れた手はあの時と同じように暖かくて、彼を見つめていると、昔の彼がふわっと今の彼と重なってみえた。
「きょうくん、何も変わらない」
「本当にそう思う?」
若干冷ややかな目をしながら彼は訊いてきた。
「それよりももう遅い時間だし、ゆらちゃん寝た方がいいよ」
「うん、ありがとう」
「いや、ゆらちゃんこういう風の音、苦手だったの思い出して心配で」
「そういうの、覚えてくれていたんだ……」
私が小学生の頃、両親とも仕事で誰もいない時だった。当時住んでいた家は古くて、強い風が吹くたびにガタガタ揺れて、壊れて下敷きになってしまうのではないかとよく不安になっていた。大雪で風が強くて、泣きそうなくらい怖かった。唯一頼れるきょうくんの家に電話した。もう夜遅い時間だったけれど、すぐに来てくれた。そんな出来事が一度だけではなく、何度もあった。
私をベッドに寝かせると彼は私が眠るまで手を握ってくれて、私は安心してすぐに寝た。起きた時にはきょうくんはまだ手を握ってくれていて、ベッドに顔だけ置いて彼もぐっすりと眠っていた。
「覚えてるよ。当たり前だよ」
当たり前。その言葉を聞くと、きょうくんの中の、隅か分からないけれど、どこかに私が存在しているのかな?って、少し嬉しかった。本当にきょうくんは空よりも遠くにいるような存在だから。
「昔みたいに、手繋いで寝る?」
彼に質問され、私は少し迷ってから頷いた。
ベッドで私は横になると、あの時と同じように彼は手を差し出してきた。
あの時よりも迷いを感じながらその手をとった。触れた手はあの時と同じように暖かくて、彼を見つめていると、昔の彼がふわっと今の彼と重なってみえた。
「きょうくん、何も変わらない」
「本当にそう思う?」
若干冷ややかな目をしながら彼は訊いてきた。
「それよりももう遅い時間だし、ゆらちゃん寝た方がいいよ」
「うん、ありがとう」