君は私のことをよくわかっているね
「では、陛下は桜華様を後宮から出すつもりは……」

「もちろんないよ。叔父にも、桜華は一生後宮から出さないと――――誰とも結婚させないと宣言してある。桜華には清いまま、一生私の側にいてもらう。私が帝位から退いても、彼女だけは手放さないと決めているんだ」


 魅音も、数多いる他の妃たちも、私にとってはどうでもいい。いくらでも替えの効く存在だ。帝位を退いたそのときには、どこへなりと行けばいいと思う。
 けれど、桜華だけは放してやらない。絶対に、私の側にいてもらう。

「――そのこと、桜華様はご存知なのでしょうか?」


 孝明が尋ねる。私は首を横に振った。


「けれど、桜華も私のことを愛してくれている。皇帝である私の決定に異を唱えることはないよ」


 ――――そう。桜華もまた、私のことを愛している。その身を強く焦がすほどに。狂おしいほどに。

 桜華が私を求めていると感じるたびに、私はたまらなく興奮する。高揚する。桜華の愛情を感じられることが、私にとって一番の幸福だ。私が私でいられることを心から嬉しく思う。その喜びは、どんなものにも代えがたい。


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