君は私のことをよくわかっているね
3.ようやく君を迎えにこれた
後宮の住人たちが寝静まった頃、わたくしはそっと自分の部屋を抜け出した。
恐ろしいほどの静寂。
綺羅びやかな宮殿も、美しい花々も、夜闇の中ではその色彩は存在していないのと同じだ。
(わたくしはどうして、ここにいるのだろう?)
自分の存在が、感情が、いろんなことが、なんだか虚しくなってくる。
今頃、龍晴様は魅音様のことを愛している。
わたくしの知らない顔で。
わたくしの知らない声で。
わたくしには知り得ない言葉を紡いで。
わたくしには決して与えられない熱をはらんで。
彼女のことを抱きしめている。
(魅音様が……他の妃や、手付きとなった女官たちが羨ましい)
わたくしだって、龍晴様を知りたい。理解したい。
彼に女性として愛されたい。
他の女性なら、わたくしの采配ひとつで叶えられるささやかな願いが、けれど自分自身には叶えられない。
どうしてわたくしではダメなのだろう?
この後宮に暮らす誰よりも、龍晴様のことを想っているのに。愛しているのに。
龍晴様だって、わたくしのことを愛していると――――いつもそう仰っているのに。
恐ろしいほどの静寂。
綺羅びやかな宮殿も、美しい花々も、夜闇の中ではその色彩は存在していないのと同じだ。
(わたくしはどうして、ここにいるのだろう?)
自分の存在が、感情が、いろんなことが、なんだか虚しくなってくる。
今頃、龍晴様は魅音様のことを愛している。
わたくしの知らない顔で。
わたくしの知らない声で。
わたくしには知り得ない言葉を紡いで。
わたくしには決して与えられない熱をはらんで。
彼女のことを抱きしめている。
(魅音様が……他の妃や、手付きとなった女官たちが羨ましい)
わたくしだって、龍晴様を知りたい。理解したい。
彼に女性として愛されたい。
他の女性なら、わたくしの采配ひとつで叶えられるささやかな願いが、けれど自分自身には叶えられない。
どうしてわたくしではダメなのだろう?
この後宮に暮らす誰よりも、龍晴様のことを想っているのに。愛しているのに。
龍晴様だって、わたくしのことを愛していると――――いつもそう仰っているのに。