君は私のことをよくわかっているね
(わからない)
龍晴様はいつだって、『桜華は私のことをよくわかっている』と仰る。
龍晴様も、『桜華の考えはよくわかっている』と仰る。
だけど、それは間違いだ。
だってわたくし本当は、龍晴様に他の女性なんて勧めたくない。
わたくしが妃を勧めたときには
『こんなのただのお役目だから。本当は他の女なんて抱きたくない』
って、龍晴様にそう言ってほしい。
本当はわたくしだけだって。他の女には興味なんてないって。そう言ってほしくてたまらなかった。
まるで異国のおとぎ話に出てくる王子様のように、たった一人の女性を想い、わたくしだけをひたすら愛してほしいと思っていた。後宮なんてなくなってしまえばいいって思っていた。
彼が後宮に訪れるたび、妃を勧めるたびに、わたくしの心はズキズキと痛む。この5年間、嫉妬で頭がおかしくなりそうだった。
仕方がないことだって――――何度も何度も自分に言い聞かせた。
龍晴様はこの国の天子様なんだもの。お世継ぎが、他国へその力を見せつけることが必要で。後宮というのはその手段の一つなんだって。
だけど、それならわたくしを、そのなかの一人に加えてくださっていいはずなのに。
龍晴様はいつだって、『桜華は私のことをよくわかっている』と仰る。
龍晴様も、『桜華の考えはよくわかっている』と仰る。
だけど、それは間違いだ。
だってわたくし本当は、龍晴様に他の女性なんて勧めたくない。
わたくしが妃を勧めたときには
『こんなのただのお役目だから。本当は他の女なんて抱きたくない』
って、龍晴様にそう言ってほしい。
本当はわたくしだけだって。他の女には興味なんてないって。そう言ってほしくてたまらなかった。
まるで異国のおとぎ話に出てくる王子様のように、たった一人の女性を想い、わたくしだけをひたすら愛してほしいと思っていた。後宮なんてなくなってしまえばいいって思っていた。
彼が後宮に訪れるたび、妃を勧めるたびに、わたくしの心はズキズキと痛む。この5年間、嫉妬で頭がおかしくなりそうだった。
仕方がないことだって――――何度も何度も自分に言い聞かせた。
龍晴様はこの国の天子様なんだもの。お世継ぎが、他国へその力を見せつけることが必要で。後宮というのはその手段の一つなんだって。
だけど、それならわたくしを、そのなかの一人に加えてくださっていいはずなのに。