君は私のことをよくわかっているね
(もしかしたら、異国ではこの国のことを『地界』と呼ぶのかしら?)
首を傾げていると、天龍様はクスクスと笑い声を上げた。
「すまない。早く君を手に入れたいあまり、説明を端折ってしまって……」
「え? あ……いえ、そんな」
どうしよう。笑われているはずなのに、なんだかすごく嬉しい。――というか、天龍様が愛らしすぎて、心臓がトクンと跳ねる。平静を装いつつ、わたくしは首を横に振った。
「どこから話そうか――――桜華はこの国の建国の歴史を知っているよね?」
「はい。今から千年ほど前、天災に見舞われたこの国を救い、導いた一人の女性がいました。女性は呪いや占いを用い、荒れた土地や人々の争いを鎮め、病を払い、やがて聖女として人々に崇められるようになりました。彼女の息子が成人すると、聖女と同様に人々をよく導くようになりました。そうして、民は彼を王と――――皇帝として敬い、自ら仕えるようになりました。これが、初代皇帝とその生母・神華による、この国の建国の歴史です」
首を傾げていると、天龍様はクスクスと笑い声を上げた。
「すまない。早く君を手に入れたいあまり、説明を端折ってしまって……」
「え? あ……いえ、そんな」
どうしよう。笑われているはずなのに、なんだかすごく嬉しい。――というか、天龍様が愛らしすぎて、心臓がトクンと跳ねる。平静を装いつつ、わたくしは首を横に振った。
「どこから話そうか――――桜華はこの国の建国の歴史を知っているよね?」
「はい。今から千年ほど前、天災に見舞われたこの国を救い、導いた一人の女性がいました。女性は呪いや占いを用い、荒れた土地や人々の争いを鎮め、病を払い、やがて聖女として人々に崇められるようになりました。彼女の息子が成人すると、聖女と同様に人々をよく導くようになりました。そうして、民は彼を王と――――皇帝として敬い、自ら仕えるようになりました。これが、初代皇帝とその生母・神華による、この国の建国の歴史です」