君は私のことをよくわかっているね
 だから、これから先、どんなに頑張ったって、龍晴様はわたくしのことを本当の意味で愛してはくれない。しがみついたところで意味もない。一方通行の恋心。だったら――――


「あの……わたくし色々と混乱していて。天龍様の仰ることをきちんと理解できていないと思うんです」


 もしかしたら、これは自分に都合のいい夢なのかもしれないって、まだ心のどこかで思っているし。わたくしの前世のこと――――神華について、納得いくまで調べてみたい。そもそも、今日の今日で天龍様の手を取るのも、なんだか違う気がするし。


「わかっている。私はなにも無理やり君を連れて行こうとは思っていない。きちんと桜華自身が納得したうえで、私についてきてほしいと思っている。もちろん、絶対に私を選んでもらうつもりでいるし、できる限り早く桜華と一緒になりたいけれど」


 指先に軽く口づけられ、身体が大きく跳ね上がる。天龍様はクスクスと笑いながら、今度はわたくしの額に口づけた。


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