君は私のことをよくわかっているね
「あの……桜華様、お召し物になにかついているようなのですが」

「え?」


 なんだろう? 思わず目線を下げると、胸元でなにかがキラリと光る。


「まぁ……なんと美しい」


 それは赤子の手のひらほどの大きさの、見たこともないなにかだった。色は乳白色で、まるで宝玉のような美しい螺鈿様の光を放ち、とてもなめらかな手触りをしている。下手に触れると割れてしまいそうなほど繊細な見た目をしていて、その実驚くほど硬い。


(一体いつの間に……?)


 そう考えたそのとき、ふと昨夜の記憶が蘇ってくる。この世のものとは思えないほど美しい、白銀の龍とのやりとりが。


(もしかして……)


 これは、天龍様がわたくしに残したものなのだろうか? 昨夜の出来事は夢ではないと。わたくしにそう実感させるために。


(本当に、そうだったらいいのに)


 龍の鱗を抱きしめて、わたくしはギュッと目をつぶる。


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