君は私のことをよくわかっているね
「そんなまさか。わたくしが招待状をお出ししたのは魅音様お一人だけですわ。後宮の管理について、なにか仰りたいことがあるようなので、二人で忌憚なくお話を、と思っておりましたところ、思いがけず参加者が増えていたのです。驚きましたわ」


 この程度の嫌味で傷ついていたら話にならない。わたくしはニコリと微笑む。
 相手側もこのぐらいの返しを想定していたのだろう。まったく動じることなく、わたくしのことを睨みつけた。


「そう! わたしが話したいのは後宮の管理の話よ。ねえ、陛下と朝食をとるのは、閨をともにした妃――――それが後宮の習わし、ですわよね? その習わしが今朝、破られてしまったの。管理人として、いかがお考え?」


 ネチネチと嫌味を言うだけでは鬱憤は晴れないと判断したのだろう。魅音様はストレートに不満をぶつけてきた。


「慣習は慣習。それを破ることを陛下がお望みならば、わたくしが申し上げることはございません」

「ふざけないでよ! あなた、管理人でしょう? 陛下が間違ったことを望んだら、それを正すのが役割じゃないわけ? なんのために妃と皇帝が朝食をとると思ってるのよ!」


 今度は魅音様以外の妃が声を荒げる。わたくしはそっと眉間にシワを寄せた。


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