君は私のことをよくわかっているね
7.桜華を守るためだよ?
「へ、陛下……」
魅音様が驚愕に目を見開き、ブルブルと震える。彼女の背後には数人の宦官。他の妃たちもあまりの事態に頭を下げつつ、しきりに目配せを交わしている。
「勘違いをしているのは君のほうだ。妃とは子孫を残すための役職に過ぎない。いくらでも替えの効く存在だ」
「あ……あぁ……」
龍晴様の怒りに呼応するように、風が吹き荒び、木々が揺れる。ビリビリと身体が震えるほどの重い空気圧。恐怖におののく魅音様を見つめつつ、わたくしはゴクリと唾を飲む。
「いいかい、魅音? それから、他の妃たちも知っておくがいい。私にとって桜華は誰よりも愛しく、大事な存在だ。妃なんてつまらない枠には当てはめたくない――――私は桜華だけを愛しているんだよ? それなのに、君たちは私の大切な桜華に対して、一体なにをしているんだい?」
妃たちは誰も顔をあげない。――ううん、上げられるわけがない。
だって、今の龍晴様は視線だけで人を殺せそうなんだもの。シンプルにおそろしいし、言い逃れできるような状況でもない。そもそも、この場で口を開くだけの勇気がある女性は魅音様ぐらいなもの。その魅音様がこの有様だもの。わたくしは静かに息をつく。
魅音様が驚愕に目を見開き、ブルブルと震える。彼女の背後には数人の宦官。他の妃たちもあまりの事態に頭を下げつつ、しきりに目配せを交わしている。
「勘違いをしているのは君のほうだ。妃とは子孫を残すための役職に過ぎない。いくらでも替えの効く存在だ」
「あ……あぁ……」
龍晴様の怒りに呼応するように、風が吹き荒び、木々が揺れる。ビリビリと身体が震えるほどの重い空気圧。恐怖におののく魅音様を見つめつつ、わたくしはゴクリと唾を飲む。
「いいかい、魅音? それから、他の妃たちも知っておくがいい。私にとって桜華は誰よりも愛しく、大事な存在だ。妃なんてつまらない枠には当てはめたくない――――私は桜華だけを愛しているんだよ? それなのに、君たちは私の大切な桜華に対して、一体なにをしているんだい?」
妃たちは誰も顔をあげない。――ううん、上げられるわけがない。
だって、今の龍晴様は視線だけで人を殺せそうなんだもの。シンプルにおそろしいし、言い逃れできるような状況でもない。そもそも、この場で口を開くだけの勇気がある女性は魅音様ぐらいなもの。その魅音様がこの有様だもの。わたくしは静かに息をつく。