君は私のことをよくわかっているね
「陛下、けれど」

「けれど、なんだ? 内容次第では処罰が重くなる――その覚悟はあるのか?」


 龍晴様が魅音様を睨みつける。魅音様はビクリと体を震わせつつ、意を決したように顔を上げた。


「陛下は妃をつまらない枠と仰いますが、本来女の価値とは子を成せるか、成せぬかで決まるものです! その点、桜華様はその土俵にすら乗れていない。なればこそ、妃のほうが彼女よりも価値が高く、尊ばれるべきでしょう⁉ 少なくとも、わたしたちがそう考えるのは当然で……」

「つまらない価値観だ。私には当てはまらない。魅音、いつからお前はそんなに偉くなった? 私の権力をお前自身のものだと勘違いするようになった? 思い上がりも甚だしい。不快だ」


 その瞬間、宦官たちが魅音様の両脇を抱え、引きずるようにして立ち上がらせる。魅音様は涙目になりながら、いやいやと首を横に振った。


「けれど……けれど、陛下!」

「おまえとは二度と会うことはないだろう。他の妃たちも、今後の身の振り方をよく考えることだ」


 龍晴様はそう言って、わたくしへ目配せをする。ついて来いということらしい。
 わたくしは妃たちへ一礼したあと、急いで龍晴様の後ろに続く。

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