君は私のことをよくわかっているね
『そうだよ。私のことを一番理解している桜華こそが、後宮の管理人にふさわしい。そうは思わないかい?』
(ああ、なんて残酷なの)
龍晴様の母親はわたくしの父親の妹だ。このため、彼は皇太子時代から頻繁に我が家を訪れていた。
龍晴様は幼い頃から快活で、優しくて、誰よりも賢くて、誰よりも強くて。その名のとおり、晴れ渡る太陽のようなお方だった。
わたくしは彼のことが好きで、好きで、たまらなくて。
いつの日か皇帝となった彼の妃となることが、わたくしの夢であり、それから生きる理由だった。
彼にふさわしい女性となるため、美しさと教養を磨きあげ、人脈を作り、父の仕事を手伝うなど、ありとあらゆる努力をした。龍晴様の皇帝即位が決まり、後宮に入るようお達しを受けたときは、天にも昇る心地がしたものだ。
けれど、わたくしはあくまで後宮の管理人。それ以上でもそれ以下でもない。
ゆえに、わたくしが龍晴様に抱かれたことは一度もない。
(わたくしだって魅音様や他の妃に負けていない――そう思うのに)
龍晴様はどうしても、わたくしを妃にするつもりはないらしい。
わたくしはこの5年間、その理由を毎日一人で考え続けている――――。
(ああ、なんて残酷なの)
龍晴様の母親はわたくしの父親の妹だ。このため、彼は皇太子時代から頻繁に我が家を訪れていた。
龍晴様は幼い頃から快活で、優しくて、誰よりも賢くて、誰よりも強くて。その名のとおり、晴れ渡る太陽のようなお方だった。
わたくしは彼のことが好きで、好きで、たまらなくて。
いつの日か皇帝となった彼の妃となることが、わたくしの夢であり、それから生きる理由だった。
彼にふさわしい女性となるため、美しさと教養を磨きあげ、人脈を作り、父の仕事を手伝うなど、ありとあらゆる努力をした。龍晴様の皇帝即位が決まり、後宮に入るようお達しを受けたときは、天にも昇る心地がしたものだ。
けれど、わたくしはあくまで後宮の管理人。それ以上でもそれ以下でもない。
ゆえに、わたくしが龍晴様に抱かれたことは一度もない。
(わたくしだって魅音様や他の妃に負けていない――そう思うのに)
龍晴様はどうしても、わたくしを妃にするつもりはないらしい。
わたくしはこの5年間、その理由を毎日一人で考え続けている――――。