君は私のことをよくわかっているね
「ねえ、桜華。わかってくれた? 私がどれほど君のことを想っているか。私は君だけを愛しているんだよ?」
とそのとき、龍晴様が立ち止まり、わたくしのほうへと向き直った。
彼の手のひらが、わたくしの頬をそっと撫でる。まるで大切な宝物を愛でるみたいに。優しく、優しく。
だけど、愛しげに細められたはずの瞳には、薄っすらと狂気のようなものが滲んでいて、わたくしの身体を竦ませる。
「だから、ね? 君は妃になんてならなくていい。今のまま、一生私の側にいなさい」
「え……?」
胸がズキンと強く痛む。
一生龍晴様の側にいる――――それはつまり、わたくしはこの後宮を出ることも、他に伴侶を持つことも許されぬまま、心をすり減らし続けるということだ。
「龍晴様、それは……」
「桜華は特別な女性だ。神聖で、決して汚してはならない美しい人だ。皇帝の私ですら君を手折ってはならない――――だから、この後宮で大事に大事に慈しむよ。私の子が成人し、私が皇位から退いたら、離宮でふたりきりで暮らそう」
とそのとき、龍晴様が立ち止まり、わたくしのほうへと向き直った。
彼の手のひらが、わたくしの頬をそっと撫でる。まるで大切な宝物を愛でるみたいに。優しく、優しく。
だけど、愛しげに細められたはずの瞳には、薄っすらと狂気のようなものが滲んでいて、わたくしの身体を竦ませる。
「だから、ね? 君は妃になんてならなくていい。今のまま、一生私の側にいなさい」
「え……?」
胸がズキンと強く痛む。
一生龍晴様の側にいる――――それはつまり、わたくしはこの後宮を出ることも、他に伴侶を持つことも許されぬまま、心をすり減らし続けるということだ。
「龍晴様、それは……」
「桜華は特別な女性だ。神聖で、決して汚してはならない美しい人だ。皇帝の私ですら君を手折ってはならない――――だから、この後宮で大事に大事に慈しむよ。私の子が成人し、私が皇位から退いたら、離宮でふたりきりで暮らそう」